近年、相続財産について、自分の思いを形にするためだけでなく、残されゆく方たちの間で相続トラブルに発展するのを防止するために作成される方が増えています。

「遺言が大事なのはわかっているけど、何から手を付けたらいいかわからない」

そのようなご相談が増えるなか、遺言の作成について経験豊富な専門家が、ご本人の状況をお聴きした上で、適切なご提案を行います。

遺言書とは

ご自身(被相続人といいます。)に属する不動産、預貯金等の財産を誰に譲り渡すのか(承継といいます。)を、文章で書き記しておき、被相続人が逝去された後に、遺言書通りの財産配分をする制度です。

被相続人が生前有していた財産を誰に承継させるのかを、被相続人自身で決定し、その意思を尊重することに本制度の趣旨があります。

遺言の効果

もし遺言を残さないで逝去された場合、相続人(被相続人の財産を承継する方)は自己の配偶者(夫からみた妻、妻からみた夫)、及び子供→親→兄弟の順番でご健在の方と、一方的に民法の規定により決定されてしまいます。

被相続人の意思は、反映されない形となるのです。

ですので、もし血縁関係はないが生前ずっと介護をしてくれていた人に自分の財産の一部を承継させたいと思っていても、その思いは実現できないのです。

また、民法は相続人の決定だけでなく、その相続人に配分する財産の額まで決定してしまいます。

ゆえに、生前長男には家の購入資金を融通してあげたから、次男に多く財産を残したい、と考えていても、子供同士は平等に配分されてしまいます。

そして、その配分は、長年被相続人の介護を行い、時間も労力も仕事も犠牲にしてきたから、私は長男よりも次男よりも多く財産をもらえるはずだと思っていた三男の期待をも裏切ることになります。

昨今、このような個別具体的な事情が反映されない財産の配分が、争続(争う)としてトラブルの大きな原因になっています。

ですので、この世に残る方たちの間に、争いの火種を生まないよう遺言書を残すようにしましょう。

遺言書の種類

遺言書の種類として民法に規定されている形式が三種類あります。
(種類)

  • 自筆証書遺言・・・自分の字で、作成する遺言になります。
  • 公正証書遺言・・・公証役場を介して作成する遺言になります。
  • 秘密証書遺言・・・基本的には、自筆証書遺言のよう自分で作成しますが、その遺言の存在だけを公証役場にて証明してもらうことになります。

上記に三種類の中で、オーソドックスなものとしては自筆証書遺言と公正証書遺言が挙げられます。

一方で秘密証書遺言は、上記のとおり自分で作成したものの存在のみを公証役場にて証明してもらうのですが、遺言内容が法律の形式に則っているかどうかの内容までを公証役場は判断しません。

そのため、公証役場での費用が発生するにもかかわらず、内容の適性までを担保されないため、年間概ね100件前後の作成にとどまり、全国的にはあまり使用されません。

三種類の遺言のそれぞれのメリット、デメリットについて、次の項目でみていきましょう。

それぞれの遺言書のメリット、デメリット

 メリットデメリット
自筆証書遺言遺言書の存在や内容を秘密にできる、費用がかからない内容が法的に問題があるかわからないこともある、紛失・偽造の恐れがある、自分で書けない場合は作成できない
公正証書遺言公証人が作成するため内容が明確になる、紛失・偽造の心配がなくなる、遺言書の検認手続きが不要となる遺言の内容を秘密にできなくなる、公証人に依頼するためお金がかかる
秘密証書遺言遺言書の内容を秘密にできる公証人に依頼するためお金がかかる、自分で遺言書を作成するので手間がかかる

付言という魔法

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言ともに、財産配分を規定した後の結びとして「付言」というものを付け加えることをお勧めします。

付言とは、簡潔にいうと被相続人が残された者たちに向けてのメッセージです。

例えばこのような書き方のことをいいます。

「長男〇〇は、家督を継ぐものとして建物と土地を受け継いでください。次男の〇〇には、生前介護でとてもお世話になったので私の預貯金を残すことしました。あなたたちが私の子供で良かった。とても幸せな時間を過ごすことができました。私が亡くなったあとも兄弟仲良くしてくれることが最後の望みです。二人共どうか幸せな人生を送ってください。いままでどうもありがとう。」

付言は法律上の効果が全くないのですが、上記のとおり被相続人の財産配分が一方的に決めたものであっても、受け継ぐ相続人たちからすると被相続人(上記例でいうと親)が決めたことだから仕方ないか、と不思議と納得できる要素を包含しているものです。

残された相続人たちの心情を落ち着かせる効果を得られることから、相続係争に発展する可能性を下げる事につながるのです。

最後に

冒頭で、遺言は財産配分の決定により被相続人の意思を実現する制度とお伝えしましたが、それと同時に相続係争を予防する存在としての意味を帯びるようになりました。

自身の財産の配分によって、家族間で争いに発展させないためにも遺言を作成していただきたいと思っています。

「遺言書作成」はこのような方におすすめです

  • 財産のほとんどが不動産等で分割が難しい
  • 推定相続人に連絡が取りにくい人がいる(外国暮らし、消息不明など)
  • 子供が2人以上いる又は子供がいない
  • 籍を入れていないパートーナー(内縁関係)がいる
  • 子供達の経済格差がある
  • 障害や病弱な子供がいる
  • 妻(夫)に家を渡したい
  • 特定の子供の受け取りを多くしたい
  • 前妻(夫)の子がいる
  • 相続人全員に相続放棄を促したい
  • 事業を特定の子供に継がせたい
  • 以前書いた遺言書を変更したい
  • 世話になった恩人(団体)に遺産を送りたい
  • 未成年の子供が心配

当事務所では、これらの問題の解決策をご提案し、実行支援ができます。

遺言書作成までの流れ

お問合せ(電話、メールなど)

まずはお気軽にお問合せください。
(お問い合わせフォーム)

初回面談、見積書提示、ご契約

初回面談は無料です。お話を伺いベストな提案をさせて頂きます。お見積りの費用や内容についてご納得された上でご契約ください。

必要書類の収集・相続人調査・財産調査

遺言書の作成に必要な財産・相続人を確定するための資料、その他の必要書類を収集します。

公正証書原案の作成

ご意向を十分にお伺いし、ご納得ゆく遺言書の原案を作成します。ご希望に合わせて内容を調整いたします。原案作成は何度でも大丈夫です。

(公正証書遺言の場合)

公正役場へ同行

公正役場へ同行し、証人として立会い、署名公正役場には、証人として同行させていただきます。

公正証書遺言作成完了

公正証書遺言作成完了遺言書に証人及び公証人が署名押印し公正証書遺言は完成です。原本は公証人役場で保管)

(自筆証書遺言の場合)

5.遺言書を自署
6.遺言書を確認
7.遺言書を保管

料金の目安

公正証書遺言作成手続き165,000円(税込)~
自筆証書遺言作成サポート27,500円(税込)~

※別途、公証人手数料がかかります。詳細はお問い合わせ下さい